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その日も、丈瑠は一人
志葉家の庭でいつものように
熱心に稽古に励んでいた。
「はぁぁぁぁーーーー」
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「雷電の舞い!!!」
シンケンマルに
モヂカラを込めようとした
その時!
「・・・・・ん?」
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火のエンブレムが
丈瑠のもとに
飛び込んできた。
「なんだ?
何故、エンブレムが・・・?」
そう言う間に
エンブレムは、形を変えた。
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「×××、×××××××」
獅子折神は、丈瑠の手のひらの上で
何かを必死に訴えかける。
「え?爺が欲しがっているモノがある?
それを、今日、俺が爺にあげろ・・・って?
いったい何を爺にあげろと言うんだ?」
「×××××××××!!!!」
「今日、男の人が欲しがるものくらい
考えれば判るだろうって?」
丈瑠、しばし考えるものの・・・・・
「・・・・いや、全然、わからん」
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獅子折神が丈瑠の手のひらの上で暴れる。
「××××××××××!!」
「は?バ、バレンタイン?何だ、それは?」
「×××××××××××!!」
「世間の常識?いや、しかし俺は知らな・・・・」
「××××××××××!」
「いいから、爺に今日中に、絶対にあげろ・・・・だと?
そのバレンタインのチョコレートとやらを、か?
俺が?俺が、爺にあげるのか?」
獅子折神は、
丈瑠がそれを絶対に今日中に、
彦馬にあげなければならないと力説する。
「心配も苦労も、いっぱいかけたんだから当然だろう!
・・・・・・とお前に言われても・・・・な A^^;)」
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「まあ、仕方ないか・・・・
何かよく判らないが、
そのバレンタインというのは、
外国の『敬老の日』みたいなものなのだろうな、きっと」
そう呟くと
丈瑠はショドウフォンを取り出した。
「爺に、心配も苦労もかけているのは、事実だしな」
丈瑠は、
彦馬が欲しがっているというモノの名前を
何気なく、空中に書き始めた。
しかし・・・・・!!
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「・・・・・・」
丈瑠には、そのモノの漢字がわからなかったのだ!!
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「××××××××××!」
獅子折神が興奮して、丈瑠に抗議する。
「いや・・・・だって・・・・」
しどろもどろの丈瑠。
「そんな漢字、習ったことないし・・・
だいたい、一字で書けないものは、モヂカラでは・・・・」
その時
丈瑠の背後に、黒子が近づいてきた。
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「殿!私が街で買ってまいりましょう」
「え?・・・そうか?街で買えるのか?」
「・・・はい、もちろんでございます
世間では、有名なイベントでございますから」
黒子の言葉に、丈瑠は意外そうな顔をした。
「そうか。では、頼む」
そう言うと、丈瑠は再び、稽古に戻った。
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