2011年

志葉家のバレンタイン

















その日も、丈瑠は一人
志葉家の庭でいつものように
熱心に稽古に励んでいた。


「はぁぁぁぁーーーー」




「雷電の舞い!!!」

シンケンマルに
モヂカラを込めようとした
その時!

「・・・・・ん?」




火のエンブレムが
丈瑠のもとに
飛び込んできた。

「なんだ?
 何故、エンブレムが・・・?」

そう言う間に
エンブレムは、形を変えた。



「×××、×××××××」
獅子折神は、丈瑠の手のひらの上で
何かを必死に訴えかける。

「え?爺が欲しがっているモノがある?
 それを、今日、俺が爺にあげろ・・・って?
 いったい何を爺にあげろと言うんだ?」

「×××××××××!!!!」
「今日、男の人が欲しがるものくらい
    考えれば判るだろうって?」

丈瑠、しばし考えるものの・・・・・
「・・・・いや、全然、わからん」



獅子折神が丈瑠の手のひらの上で暴れる。

「××××××××××!!」
「は?バ、バレンタイン?何だ、それは?」

「×××××××××××!!」
「世間の常識?いや、しかし俺は知らな・・・・」

「××××××××××!」
「いいから、爺に今日中に、絶対にあげろ・・・・だと?
 そのバレンタインのチョコレートとやらを、か?
 俺が?俺が、爺にあげるのか?」

獅子折神は、
丈瑠がそれを絶対に今日中に、
彦馬にあげなければならないと力説する。

「心配も苦労も、いっぱいかけたんだから当然だろう!
   ・・・・・・とお前に言われても・・・・な A^^;)」




「まあ、仕方ないか・・・・
  何かよく判らないが、
  そのバレンタインというのは、
  外国の『敬老の日』みたいなものなのだろうな、きっと」

そう呟くと
丈瑠はショドウフォンを取り出した。

「爺に、心配も苦労もかけているのは、事実だしな」

丈瑠は、
彦馬が欲しがっているというモノの名前を
何気なく、空中に書き始めた。

しかし・・・・・!!



「・・・・・・」

丈瑠には、そのモノの漢字がわからなかったのだ!!



「××××××××××!」
獅子折神が興奮して、丈瑠に抗議する。

「いや・・・・だって・・・・」
しどろもどろの丈瑠。
「そんな漢字、習ったことないし・・・
だいたい、一字で書けないものは、モヂカラでは・・・・」

その時
丈瑠の背後に、黒子が近づいてきた。



「殿!私が街で買ってまいりましょう」

「え?・・・そうか?街で買えるのか?」
「・・・はい、もちろんでございます
  世間では、有名なイベントでございますから」

黒子の言葉に、丈瑠は意外そうな顔をした。
「そうか。では、頼む」

そう言うと、丈瑠は再び、稽古に戻った。







しばらくして、黒子が街から戻って来た。

黒子が買ってきたのは、このようなものだった。

「・・・・・これが・・・・?」
丈瑠は戸惑った。

「はっ。奮発いたしましたm(__)m」
黒子が頭を下げる。
「これが・・・爺の欲しいものなのか?」
「はい」

そのチョコレートのケースはハート型をしていて
随分とかわいらしかった。



「・・・・いや」
丈瑠は、考え直す。
(これは、ハートというか・・・・
 心臓をかたどっているんだろう。
 きっと長生きしてくれという意味なのだ)

丈瑠は、手のひらの上の
エンブレムに戻った獅子折神を見つめる。

「でも・・・・やはり、わからん。
 爺は俺と同じで、和菓子の方が好きだったと思うんだが。
 何故、今日に限って、こんなものを爺は欲しがる?」

丈瑠は、バレンタインデーの意味を知らない。
知らないが、彦馬が丈瑠から貰いたがっているというなら
何でもあげたい丈瑠だった。







「まあ、いいか。
 いや、ご苦労だったな」
「・・・はっ」

何故、これなのか。
わからないまでも、なんとなく満足した丈瑠だった。

丈瑠は黒子が買ってきてくれたモノを受け取ると
大事そうに、懐にしまった。

「稽古を続ける」

丈瑠がそう言った時、黒子が一瞬慌てたように見えた。
「・・・・あ、あの・・・・」
「何だ?」
「・・・・い、いえ・・・A^^;)」

黒子は何か言いたそうだったが
丈瑠は、そのまま、稽古に戻った。



稽古も佳境に入った。
何故か、先ほどの黒子は、ずっと丈瑠の稽古を見ている。

「烈火大斬刀!!!」

丈瑠がそう叫んだ時
なにやら、後ろの黒子が
悲鳴のような声を上げたような気がしたが
丈瑠は、そんなものに構わなかった。



「うおりゃぁぁぁぁーーーーー」

自分の身長より大きな
烈火大斬刀を振りまわす丈瑠。



「はぁぁぁぁぁーーーー」

人間業とは思えぬほどのモヂカラを注ぎこむ。



文字通りの烈火が
丈瑠と烈火大斬刀を包み込んだ時!



丈瑠は気付いた!



「・・・・すまない」

丈瑠の詫びに、黒子も俯く。
「・・・・いいえ、とんでもございません」

「はっ!?」
次の瞬間、黒子が顔を上げた。
「殿!!これならば!!」
「え?」
驚く丈瑠に、黒子は告げた。
「その、殿の胸元で溶けてドロドロになった
  チョコレートを再利用できます」







その晩。
まだ冷える冬の夜。

丈瑠は、溶けてしまったチョコレートで
チョコレートドリンクを作って
彦馬の部屋に持って行った。

彦馬は、とても喜んでくれた。
それに大満足の丈瑠だった。











文庫




カノン



いやあ。
このページをつくるの
面倒くさかったけど、楽しかったです。

殿のフィギィアーツが届いた記念作品です(^^)

バンダイのフィギィアーツ、
戦隊では、殿が「お初」なんですよ♪


いかがでしたか?
フィギィアーツ、いい出来ですよね?
さすが、バンダイさん!!

小物も、いい感じです。
持つモノによって、手を付け変えなくてはならないのですが
ちょっとこわれそうで、怖かったですね。

そして、烈火大斬刀。
本当にこんな大きなものを持っていても
殿のお人形さんは、ちゃんと一人で立ってくれるんです。
もちろん、バランスは必要ですが。
これ、全然支えていないんですよ。
どの写真も、殿がお一人で立たれています。

格好良く見えて
バランスがとれて・・・・
という点は、少しばかり苦労しました。

でも、SD(スーパードルフィ)大好きの私ですから
こんなのは、お手のものです〜(な〜んてね)

時間が掛かるので、あまりできないけれど
爺が大好きな丈瑠の、バレンタインのお話でした♪


2011.02.13